会社が増資を行う場合はほとんどが時価発行増資であって、証券会社が広く一般の投資家にその有価証券の取得の申込を勧誘します。これを募集といい、通常は公募と呼んでいます。
公募(公募増資)とは企業が不特定多数の投資家を対象に新たに株券を発行して、株式市場から新規に資金を調達することであって、以前からの株主に保有されている株式を市場に放出する「売出し」とは明確に区別する必要があります。
個人など幅広い層の株主を獲得でき、市場で株式の流動性向上も見込めます。自己資本比率の向上により財務体質を改善する効果もありますが、増資をすると発行済み株式数が増えるため、1株当たりの利益は減ることになります。
株式市場では公募は、相場低迷時に需給を悪化させる要因として意識されやすく、株価下落につながる場合もあります。銀行借り入れと違い、企業は金利を支払う必要はありませんが、その代わりに株主から配当増額などの要求が強まる可能性があります。
【同義語】 募集 公募増資
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ヨーロッパ人がアジアや南北アメリカなどへの進出を始めた大航海時代、1602年にオランダで設立された「東インド会社」が株式会社の発祥とされています。
株式を発行して投資家から巨額の資金を集め、海外貿易や鉱山の開発、農場経営などを行なっていました。それまでにもヨーロッパでは希少価値であった香辛料等や金銀の貿易をするために一航海ごとに出資者を募集して、成功すれば得られた巨大な利益を分配するハイリスク・ハイリターンのシステムはありました。
しかし、会社という組織自体への出資者を集めて投資リスクの分散化を図り、近代的な簿記会計制度や取締役制度を整えて組織運営を行なったのは東インド会社が初めてだったのです。
その株式に当たる出資証明書は株主の権利とともに資産家の間で自由に売買されるようになり、出資者と事業運営者を明確に分離してその出資証券を流通させるという現在の証券取引の原形となりました。 |
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