国民年金や厚生年金、公務員や私立学校の教職員が加入する共済年金などの公的年金は、積立金の一部を株式市場で運用しています。その金額が大きいだけに相場の変動要因となることが多くあります。
国民年金・厚生年金の積立金を管理するのが年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)で、2008年9月末時点の運用資産額は約120兆円と世界最大規模となっています。
資産は「基本ポートファリオ」に基づき、国内債券・株式、外国債券・株式、短期資産に分散投資しています。比率は国内債券が最も多く67%、国内株式は11%となっています。実際の運用は一部を自家運用している以外は、信託銀行や投資顧問に委託しています。
世界的な株安で、運用利回りは急速に悪化しており、2008年4-9月期の国内株式の運用利回りはマイナス10%となりました。マイナスが続けば資産は目減りします。基本ポートファリオを維持するには日本株の買い増しが必要で、これが株価の下支え効果になるとの観測を生むこともあります。ただ比率には多少の許容範囲があり、必ずしも11%に落ち着くとは限りません。
日経平均株価が8000円を割り込んだ2008年10月の相場急落局面では、公的年金の買い出動の思惑が相場下支え要因のひとつになりました。市場では公的年金が株価維持に活用されているとの見方も根強く、これが材料になることもよくあります。
(2009年1月8日付日本経済新聞より抜粋) |
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ヨーロッパ人がアジアや南北アメリカなどへの進出を始めた大航海時代、1602年にオランダで設立された「東インド会社」が株式会社の発祥とされています。
株式を発行して投資家から巨額の資金を集め、海外貿易や鉱山の開発、農場経営などを行なっていました。それまでにもヨーロッパでは希少価値であった香辛料等や金銀の貿易をするために一航海ごとに出資者を募集して、成功すれば得られた巨大な利益を分配するハイリスク・ハイリターンのシステムはありました。
しかし、会社という組織自体への出資者を集めて投資リスクの分散化を図り、近代的な簿記会計制度や取締役制度を整えて組織運営を行なったのは東インド会社が初めてだったのです。
その株式に当たる出資証明書は株主の権利とともに資産家の間で自由に売買されるようになり、出資者と事業運営者を明確に分離してその出資証券を流通させるという現在の証券取引の原形となりました。 |
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