包括利益とは、企業の最終的な儲けである純利益に、長期保有の有価証券や、海外子会社を連結する際に円換算すると生じる差益・差損など資産価値の増減を加えた総合的な利益指標のことです。
事業の損益だけはなく、保有している株式が値上がり、あるいは値下がりすれば、それも利益や損失に計上します。つまり、含み損益などはこれまで貸借対照表に計上してきましたが、損益計算書に反映させることになります。
日本企業は持ち合いなどで多額の株式を保有しているため、純利益に比べて包括利益は大きくなりやすい傾向があります。米国基準や国際基準では導入済みで、日本でも包括利益を導入する方向で議論が始まっています。金融危機後の時価会計の見直し案では、企業は保有株式の含み損益を損益計算書のどこに計上するかを選択します。
包括利益への計上を選ぶと配当や売買損益も含めて純利益に計上できなくなり、包括利益を選ばなければ保有株の毎期の時価変動分はすべて純利益に反映されます。
(日本経済新聞2008年9月3日記事より一部引用) |
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ヨーロッパ人がアジアや南北アメリカなどへの進出を始めた大航海時代、1602年にオランダで設立された「東インド会社」が株式会社の発祥とされています。
株式を発行して投資家から巨額の資金を集め、海外貿易や鉱山の開発、農場経営などを行なっていました。それまでにもヨーロッパでは希少価値であった香辛料等や金銀の貿易をするために一航海ごとに出資者を募集して、成功すれば得られた巨大な利益を分配するハイリスク・ハイリターンのシステムはありました。
しかし、会社という組織自体への出資者を集めて投資リスクの分散化を図り、近代的な簿記会計制度や取締役制度を整えて組織運営を行なったのは東インド会社が初めてだったのです。
その株式に当たる出資証明書は株主の権利とともに資産家の間で自由に売買されるようになり、出資者と事業運営者を明確に分離してその出資証券を流通させるという現在の証券取引の原形となりました。 |
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